点線の用語は、カーソルを合わせるかタップすると意味が読めます。
「使った以上のエネルギーが、核融合で出ました」
そんなニュースを聞いたら、期待しますよね。「じゃあ、家の電気も核融合になるの?」と。
2022年12月、米国のNIFという施設で、実際に大きな成果が報告されました。
燃料を入れた「標的」に届いたレーザーより、多くの核融合エネルギーが出たんです。 1 2
標的は、燃料の入ったカプセルと、それを囲む小さな容器をまとめたもの。「ターゲット」とも呼びます。実は、このどこを入口として数えるかが大事なんです。2
「使った以上が出た!」どこを数えた数字?
家の明かりまでつながるのか気になった二人が、実験の入口と出口をたどります。

オレンジの人「使った以上に出たなら、この明かりもつけられる?」
核融合のニュースに期待が膨らみます。でも、その数字が何と何を比べたものかを、先に見てみましょう。

青い人「標的へ届いたレーザーより、多くのエネルギーが出たんだ。」
2022年の実験では、届いたレーザーが2.05 MJ、核融合の出力が3.15 MJ。これは取り出した電力量ではありません。

オレンジの人「あっ、この装置を動かす分も必要だ!」
レーザーを動かす施設全体には、さらに大きなエネルギーが必要です。その分は、さっきの2.05 MJに入っていません。

青い人「効率よく、何度も続けられるようにするんだね。」
燃料の実験で越えた壁は大きな成果。電気を届けるには、効率や繰り返し運転などの課題も解いていく必要があります。
人物・燃料・装置・工場はAI生成の説明用イラストです。実際のNIFの設備配置や反応の見た目、エネルギー量は表していません。数値は2022年12月5日の実験、施設全体との違いはLLNLの解説に基づきます。 [1] [2] [4]
そもそも核融合って、何をくっつけるの?
漫画の2コマ目で登場した燃料。そこで起きた「核融合」は、何をする反応なのでしょう。
くっつけるのは、軽い原子核どうしです。原子核は、原子の中心にある小さくて重い部分。
この反応で出るエネルギーを利用しよう、というのが核融合の研究です。1
SFでは宇宙船の動力として登場しますが、今回の実験ではレーザーを使い、燃料で核融合の反応を起こしました。
数字を、二つだけ見てみよう
標的に届いたレーザーのエネルギーは、2.05 MJ。
核融合で放出されたエネルギーは、3.15 MJでした。1
MJは「メガジュール」と読みます。エネルギーの量の単位です。ここでは、同じ単位どうしで比べている、と分かれば大丈夫。
2.05より3.15のほうが大きい。確かに、出てきた量が上回っています。
え、でもレーザーを動かす電気は?
そう、そこなんです。
レーザーを作って動かす施設にも、エネルギーが必要です。その分は、さっきの2.05 MJに含まれていません。施設全体では、もっと大きな投入が必要になります。4
荷物の配達にたとえるなら、「玄関に届いた分」と「発送から配達までに使った分」は、違う数字ですよね。
今回の2.05 MJは、標的という玄関に届いたレーザーの量。施設全体が使った量ではない、ということです。
どこを入口として数えるかで、「プラス」の意味が変わるんですね。
じゃあ、成果はたいしたことないの?
それも違います。
研究が確かめたかった一つの壁は、標的に届くレーザーより多くのエネルギーを、核融合から引き出せるかという点です。そこを越えた成果として発表されました。1
一方、家に電気を届けるには、施設全体の収支や、発電までの仕組みも必要です。4
「燃料の実験で大きな一歩があった」と「発電所として完成した」。この二つを分けると、どこまで来たのかが見えます。
発電所にするなら、次は何が必要?
たとえば、一度うまくいった実験を、何度も繰り返せるか。
レーザーを、もっと効率よく動かせるか。
実験に使う標的を、必要な数だけ作れるか。
LLNLの解説でも、こうした点がエネルギー利用に向けた課題として挙げられています。4
発電所には、「一回できた」に加えて、「必要なときに続けられる」が求められるわけですね。
観測所の「ほぇ〜ポイント」
次に新記録を見たら、数字の大きさに加えて、何と何を比べているかにも注目してみてください。